金の亡者

被告の佐伯市は争う姿勢「渓流下りは嘉風関の強い要請」
佐藤幸徳、倉富竜太
 
2020年10月21日 20時57分
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引退会見に臨む元嘉風の中村親方=2019年9月16日、東京・両国
 
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 昨年9月に引退した大相撲元関脇・嘉風(よしかぜ)の中村親方(38)が、出身地の大分県佐伯市などを相手取り計約4億8千万円の損害賠償を求めた訴訟について、市は21日、市議会の全員協議会で経緯を説明した。親方が引退の原因となるけがを負ったキャニオニング(渓流下り)について「ぜひやりたいと嘉風関から強い要請があった」と説明。「市に責任はない」として訴訟でも争う方針を改めて示した。
 
 市観光ブランド推進部の川野義和部長が説明した。市が誘致し、昨年6月18~23日に実施された合宿には中村親方を含む尾車部屋の力士8人が参加。事故があった20日は朝稽古を一般公開し、その後の食事以降はオフだったという。
 
 川野部長は「嘉風関からオフの時間に他の力士らとキャニオニングを楽しみたいという強い希望があり実施した」と説明。親方側が主張する、市のPRのための行事ではなかったと強調した。キャニオニング体験は一昨年の合宿でもオフの時間に予定されていたが、雨で中止に。親方は「今度はぜひやりたい」と希望したという。
 
 損害賠償請求額は約4億8100万円で、中村親方が40歳まで現役を続けた場合に得られたはずの収入、休業損害、後遺障害の補償、逸失利益、慰謝料が含まれるという。第1回口頭弁論は11月27日に東京地裁で開かれる予定。
 
 中村親方の代理人弁護士は朝日新聞の取材に「係争中の裁判なので一切コメントできない」と話した。(佐藤幸徳、倉富竜太)